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木に生るコラム

7.慣れと変化

 まずは漢字の話から。
 そう、「話」の話なんです。

 「話」という漢字、単独の名詞で使われる時は「し」という送り仮名は付けてはいけない。「君の話は長い」であって「君の話しは長い」ではない。少なくとも自分はそう習ったし、プロの作家はこのルールはちゃんと今も守っている。

 ところが最近、このルールが堂々と破られるようになった。最初はテロップ、あのテレビ画面に流される文字だ。ニュースのコメントなどの会話が文字で補われるようになり、その中で「話」と「話し」が混在するようになって、今ではNHKでさえ当たり前のように「話し」を使っている。そして書籍でも。これは「答」と「答え」でも同じだ。

 おそらくワープロを使う際の変換候補の関係で「話し」や「答え」が幅を利かせてきたのだろうけれど、それがそのまま表記法の変更につながったという話も聞かない。(自分が勉強不足なだけならばお許しを。)ただし、ここで日本語の乱れを嘆いても仕方がない。注目したいのは「話し」を変だと思わない「慣れ」の問題だ。

 テレビ番組の中に少しでも変な表現や間違いがあると、すぐに放送局には抗議が寄せられるらしい。なかにはそれが社会的問題になることだってある。しかし「話し」は変な表記ではなくなって、抗議の対象ではなくなったようだ。みんなが慣れれば「変」ではなくなり、繰り返し登場できるようになる。そんな認められ方もあるのだけれど、これが結構、重要であるような気もする。

 「ウルトラマン」でバルタン星人に追われる群衆の中に白杖や車いすを使う人間がいる。トレンディドラマのヒロインがNPOの事務局で働いていたりする。今までは、そんな「慣れ」はなかった。これからそうなるという保障もない。だけども、ぜひとも慣れてほしいものだ。

 それでこそ、妙な善意の押し付けではない、ほんとうの社会的な変化であるような気がする。

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